こちらの記事でわかること
皆様は日本にどのくらいの数の会社(法人)があるかご存知でしょうか。中小企業庁が2020年4月に公表した「2020年版 中小企業白書・小規模企業白書概要」によると、国内法人数は減少傾向にあるも2016年度ベースで約359万社あり、その内中堅・中小企業は357万社と99%を占めています。 日本経済を支える中堅・中小規模の卸売業・小売業において、昨今のコロナ禍の影響は大きく、甚大な被害を受けております。
昨今の情勢を表した「VUCA時代」という言葉も最近耳にすることが多くなりました。ビジネスの世界では大企業だけでなく中堅・中小企業においても「DX(デジタルトランスフォーメーション)」推進の必要性がより一層強まっていることは周知の通りです。 今回は、デジタル・IT領域に限らず中堅・中小規模の卸売業・小売業が抱える様々な課題の内代表的な内容をいくつか抜粋し、解消に向けた打ち手や優先順位について考察していきたいと思います。
冒頭にあるように、中堅・中小規模の卸売業・小売業には従前より課題が山積しており、その中でコロナという「強制的な外圧」が襲い掛かり、変革の緊急性が高まった格好となっております。 それでは従前の課題とは何かについて、少々粒度が粗く、またMECE(抜け漏れダブりなく)に欠ける内容となっていますが、下記の通り整理しました。
ではどうやって課題解消の優先度を決めるかというと、「意思決定のマトリクス」というフレームワークがあり、当該課題を「緊急性」「実現性」「収益性」「将来性」等の項目で定量的に評価するのがポピュラーな方法です (もちろん各評価項目の点数がなぜこの点数なのかの理由も合わせて整理しておく必要があります)。このフレームワークをベースに各評価項目の定義、評価方法を次の通り考えてみました。
→ 課題を解消する、若しくは放置したままだと事業への影響がどの程度あるのか?で評価
→「難易度」とも換言でき、当該課題の解消が自己完結できる性質のものか否か?で評価
→ 課題を解消することで、どの程度収益(売上等)が増加する、若しくはどの程度費用(売上原価・販管費等)が減少し、結果としてどの程度利益が増加するのか?を評価
→ 課題を解消が、「With/Afterコロナ」をはじめとする「VUCA時代」にも長きにわたり通用するのか?を評価
特に②実現性の「自己完結できる性質のものか否か」は重要です。課題は解消しなければ意味がありませんし、課題の種類によっては他社や業界を巻き込まないと根本的な解消とはならない性質のものがありますので、 先ずは自社のみで完結できる課題については優先的に取り掛かるべきです。なお、商流の上流に位置していて取引上の地位に優位性があり、また業界のリーディングカンパニーや2番手・3番手の比較的大手企業であれば、 むしろ③収益性や④将来性の比重を高めた方が良いかもしれません。以上を念頭に、上記の課題に対する打ち手を検討し「意思決定のマトリクス」に当てはめてみました。会社によって評価は異なるかと思いますが、ご参考となれば幸いです。

合計が高い順から課題解消に取り組むのがセオリーですが、例えば同点であれば②実現性を重視した方が中堅・中小企業にとっては有意なプランになるでしょう。
中堅・中小企業はとにかく、時間がない、人がいない、お金がない、情報もない…という状況が大半ではないでしょうか。日々の業務を回すので精一杯で、課題を解消しようなんて気も起きないという気持ちはよく分かります。特に自己完結しない課題は、他社若しくは業界そのものを巻き込まないと解決しない、大がかりで複雑な根の深いものばかりで非常に厄介です。
このような厄介な課題は「逃げ恥」マインドで解消方法を考えるのも手です。例えば外注して業務を丸投げする、そもそもそういう取引・業務をなくす・やめるといった方法です。個々の取引・業務にとどまらず、祖業・現業そのものを見直し、ビジネスモデルをフルモデルチェンジする思考はDX化推進の中でもよく議論されます。
「そんなこと、できるものならとっくにやってるよ!」「人も時間もないから困ってるんじゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、当然のことながら協力者や事前の綿密な「仕込み」がないと難しいでしょう。 「仕込み」は根気がいる作業ですし、また経営に直結する重要課題であれば社員に相談するわけにもいかず、かといってコンサル・会計士・弁護士等、誰に相談すれば良いのか見当もつかないかもしれません。 それでも個人的なツテ、取引銀行・顧問税理士・市区町村への相談、SNSでの積極的な発信等、経営者自身があらゆる手段を講じて動かなければ前進はありません。一朝一夕では事を為すことはできませんが、今本コラムを読んでいるPC・スマホ・タブレットを使って今から行動に移すことが大事です。
中堅・中小企業はとにかく経営資源が乏しいため、経営者自身が業務の一部を担っているケースも少なくなく、寝る間も惜しんで奔走していると思いますし本当に頭が下がります。しかし、本当に1分1秒も時間がないのか?、電話、Web会議、チャットを使って今まで対面でやっていたコミュニケーションを簡素化して時間を捻出できないのか?捻出した時間をSNSでの発信に充てることはできないか?等、考えをめぐらせ能動的に外部へコンタクトを取ることが大事です。
外部への説明資料を作る手間が惜しいのであれば本コラムを相談相手に共有し「この部分が当社にも当てはまる課題なんだ」と説明しても結構です。ムダな時間を一切使わず、抜本的な課題解決に向けた検討を少しでも前に進めましょう。そしていざ課題解決に向けた検討が具体化した段階でも、やはり人と時間とお金の問題がでてきます。そういった問題は当初から予測できるハズですので、人的資源に問題があれば定着化までハンズオン支援をやってくれる会社を探し、資金面で問題があればサブスクリプション型の安価なサービスを提供してくれる会社・製品を探し、あらかじめ選定しておくのです。
以上、偉そうなことを申し上げましたが、本コラムをお読みいただき「よし、やってみるか!」という方が少しでもいらっしゃるのであればこの上ない幸せです。